うさぎの書斎

司書教諭が読んだ本

日本文学

心の中の100冊:006.『家族』南木佳士――今がおわる

高校生の読書傾向を見ていると、やはり家族がテーマの物語はよく読まれる。特に書評や感想文の題材としては、自分自身の家族と比較できるという点で、等身大の主題でもあるのだろう。 その中で、私は大好きなので選んでくれるとうれしいことはうれしいのだが…

心の中の100冊:004.『宣告』加賀乙彦――生きた人間の手

「刑務所のリタ・ヘイワース」に続いて、日本の獄中物語の一つ『宣告』。著者の加賀乙彦が、精神科医として死刑囚達との交流の中で生まれた問題意識を小説化した作品である。 宣告 (上巻) (新潮文庫) 作者: 加賀乙彦 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2003/0…

心の中の100冊:001.『寵児』津島佑子――「父」の不在

第1冊目を何にしようかと迷いに迷ったあげく、もっと別の機会にとか思いつつも、今の私の血と肉となったこの人を挙げる。津島佑子である。今の子どもたちには、「太宰治の娘」から紹介しないとならないと思う。 寵児 (講談社文芸文庫) 作者: 津島佑子 出版…