心の中の100冊:006.『家族』南木佳士――今がおわる
高校生の読書傾向を見ていると、やはり家族がテーマの物語はよく読まれる。特に書評や感想文の題材としては、自分自身の家族と比較できるという点で、等身大の主題でもあるのだろう。
その中で、私は大好きなので選んでくれるとうれしいことはうれしいのだが、高校生にとって馴染みの深い世界かというと、決してそうではない老人の物語であるから、なぜ選ばれるのか不思議な1冊。
南木佳士に対する思いは、以前に書いた。
家族の物語は、沢山ある。本校でも人気の作品や、読み応えのあるものを挙げていきたい。
中高生にとって読みやすさの旗手としては、やっぱり重松清だろう。
- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/10/25
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 61回
- この商品を含むブログ (36件) を見る
重松清を挙げようと思えばいくらでも挙げられる。
『イノセント・デイズ』がドラマ化される早見和真も、活字からその場面を想起させやすさもあるという点ではわかりやすく、なおかつ最後には心にずしりとくる何かしらの「感動」を与えてくれる作家である。ただ、重松清ほどはみずから手にはとらない。薦めてみても見向きもしない。高校生にも読みやすいと思うんだが、子どもの思考は不思議である。
映像化された作品なのに、全く動かなかった。南木佳士に比べたら明るくて読みやすいと思うんだけどな。
「家族」という「日常」の中で、ちょっとした変化を劇的につついて描くのがうまいのは奥田英朗。
よくもまぁ、こんなに「ささやかな」「家族」の出来事を見つけてくるよな、と関心してしまう。
「家族」の数だけ、いろいろな「家族」の形が存在する。
ちなみに瀬尾まいこは、紹介すると飛びつくように借りていく。
まだまだネタは尽きないが、このあたりにしておく。