うさぎの書斎

司書教諭が読んだ本

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

事実こそ小説

もともと評伝が好きである。 一人の人間の生き様を読むのが楽しい。その人のハレの部分もカゲの部分も、どちらもあって初めてその人生が色彩豊かになる。 そして、ここのところ吉村昭がマイブームになっていた。 だから、実家に帰省中、長野の大型書店でこれ…

下りるために登るんさ

1985年8月12日。私は小学生で、テレビで日航機墜落の速報を目にした。その後、祖母を相手に「大変だー!」と騒ぎ、テレビを通して入ってくる速報に釘付けになっていた記憶がある。私の長野出身。当初、言われた墜落現場は長野県。複数の目撃が県内から寄せら…

オリジナリティー

作家は文字という道具を用い、自分の世界を表現する。語彙そのものは何万語という途方もない数であるが、それでも無限ではない。言い換えれば、限られた範囲の中で言葉を組み合わせて表現しなくてはならない。作曲家はもっと大変である。基本は12音。あとは…

ミクロの決死圏

「死」は恐ろしいことである。人は、突然「死」に直面するとしばしばパニックになる。特に、それが原因不明で治療法も対処方法もわからずとなれば、集団ヒステリーともパニックともなり得る。 最近でいえば、エボラ出血熱がそうであり、少し前は各種新型イン…

ピカ

8月6日なので、ヒロシマに哀悼の意を込めて。 小学校1年生の時の、母からのクリスマスプレゼントがこの本だった。 ひろしまのピカ (記録のえほん 1) 作者: 丸木俊 出版社/メーカー: 小峰書店 発売日: 1980/06 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 15回 こ…